頑張っているか?頑張っていないか?
もちろんみんな頑張ってる。ビッグコンペの1ヶ月以上前から渡英し、毎日安くないレッスンを受け、練習会に参加し、切磋琢磨、向上しようとしている。必要なのはセンスなのか?フィジカルが弱いのか?努力や根性が足りないのか?はたまた知識が不足しているのか?現役のうちはそうやってもがきながら、悩みながら一歩ずつ進んでいくしかないのかも知れない。
我々は日本全体の競技力向上を考る時に、個人の努力だけではどうにもならない部分がある事を理解しなければならない。例えば自分が信じる道を進んでいる時に、外国人審査員の評価と日本人審査員の評価に大きな差が生じる事がある。外国人審査員のチェックは入っているのに、日本人審査員からのチェックは皆無だったり、またその逆もあったりする。選手はその結果に自分のやっていることが間違えているのではないかと、不安になる。
もちろんどこに重きを置いて審査するかにもよるが、誤解を恐れずに言えば、世界に通用する選手を育てる為には世界の審査基準を、日本人審査員もまた勉強する必要があると思う。世界のダンスシーンは日々進化している。5年経てばスタイルは変わるし、10年前は遥か昔の踊りである。自分自身、常に勉強し、アップデートしていかなと、教える側、審査する側はあっという間に取り残されてしまう。今、何が評価されて、その為に選手に何が必要なのか、的確にアドバイス出来なければならないだろう。
自分がチャンピオンだったとして、自分が当時やってきた事を、今の子達にそのまま押し付けてもそれはただのコピーでしか無く、残念ながら既にそのコピーが通用する時代ではなくなっている。もちろん経験は財産だから、それを伝えていく事は大切だと思う。ダンスもファッションと同じで、オールドファッションが繰り返され事はあるが、そこには現代のスタイルや、新しい運動メカニズムなどが組み込まれており、最前線に身を置き、システムを学び続けない限り、世界に取り残されてしまうのは明白であろう。
日本の先生方は引退イコール、ダンスの勉強からの卒業になっていないだろうか? 引退後はむしろ逆に競技の成績に囚われること無く、思う存分、ダンスを追求できるチャンスではないだろうか。世界のトップレベルのダンスだけで無く、ジュニアやジュブナイルの競技会からだって学びは沢山あるはず。レッスンを受け、汗をかき、自らの身体に技術を落とし込む努力を、いつしか忘れてはないだろうか。例えば引退したコーチャーや審査員が集まって、定期的にディスカッションしたり、OB限定の練習会をしたり、勉強会などをしてみてはどうだろう。各々が長い現役生活の中で身に付けてきた技術や知識を、日本の競技力向上の為に、互いに共有し合い、更に高めていってはどうだろうか?
日本が、世界に伍する選手を排出するには、下のクラスやジュニアやジュブナイルの頃から、全日本選手権に至るまで、世界に準じるブレない審査基準が必要なのだ。
Bクラス戦はこういう踊りが良いとか、学連は若いから元気があれば良いとか、そういった基準で成績を付けてしまうことによって、遠回りをさせてしまっていないだろうか。真っ直ぐ育っていける環境の整備や、ベースや価値基準の明確化がされるだけで、選手は迷わず戦えるのではないだろうか。
私は毎週、ダンス好きの友人達と練習会を開いている。選手達は純粋に、来たるべき競技会に向け、努力を重ねている。その努力の方向性がズレていないか、そのカップルの未来に繋がっているか、そういった事を気にしながら見ていると、やはりもどかしくなる時もある。
いまこそ日本全体の競技力向上の為にも、先人達の培ってきた技術や知恵を共有し、受け継いでいく時ではないだろうか。
さもなければ、気が付いたら誰も世界に挑戦しなくなる、なんてことになりかねないのでは、、、
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