三回目を数える今公演で、私はスサノヲノミコトの役を演じると共に、舞踊全般の監修もさせて頂きました。今までの流れを踏まえ、より分かりやすく、美しさを損なわないよう、手を加えさせて頂きました。踊り手の女性陣もよく構成を理解し、それに応えてくれたおかげで、回数を重ねて観に来ていただいたお客様にも、前回よりも良くなったとの声をいただけたので、ほっとしています。
ラテンダンスの良さを残しつつ、舞台の構成や役回りを表現することは難しくもあり、楽しくもあり、毎回新しい発見を感じながら取り組まさせていただいております。
足袋でよくあんな動きが出来るね、と言われますが、確かに重心が少しでも、頭の位置から踵までの垂直のラインからずれると、裏が綿の白足袋なので、横滑りしてしまい、極度の集中力を要しますが、意外と足袋で踏む板の間の感触はパソや、サンバの足の裏の使い方と感触が似ており。袴を着用して、足袋を履いて動くと、自然とあのような動きになっていったというところが率直な感想です。
共演させていただいた藤間兄妹の演舞も素晴らしく、何度も練習を重ねていくうちに間が合ってくる、共鳴のような感覚があり、また一緒に踊ることによって、随分と演技の幅を広げていただいたように感じました。まだ二人ともお若いので、これから益々の活躍が楽しみです。
和洋融合の演奏隊のハーモニーも素晴らしく、特に三郎先生の小鼓は、舞い手の動きや、間に完璧に合わせてくれる芸術技。普段は音楽がまずあり、その音楽を表現することを生業としている私には非常に新鮮で、自分の間や、動きから音が生まれてくるような、至福の感覚を体験させていただきました。インドラのみなさんの和太鼓も回を重ねる毎に気合いがこもって来るので、こちらも自然と熱が上がります。舞い手と演奏者との精神的交流が、この舞台の魅力を作り上げている一つの要素なのかもしれません。
日本舞踊や能、狂言には全くの素人の自分が、ボールルームダンスの人間として、日本の伝統や文化を表現する舞い手として、能楽堂の神聖な舞台に立てることは本当に幸せなことだと、改めて感じました。それもひとえに、情熱を持ってここまで一粒萬倍を引っ張ってきた、演出家の松浦さん、武田をはじめ、能楽師の方々のおかげだと感謝しています。この経験や出会いを活かし、また新しい取り組みにチャレンジしていきたいと思います。
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