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一期一会 2023年5月「彼我の差」




今回は先だってfacebookで投稿した記事をベースに文章を組み立ててみようと思う。強烈な印象やインパクトを感じた瞬間に綴った文章にはその熱が宿る。しばらく経ってから客観視して書いた文章と見比べてみると、ゴツゴツと荒いが、より本質を捉えているように感じる。私が国際的な大会に行く度に感じる想いが、読者の皆さんに少しでも伝われば幸いである。


コロナ禍を経て、世界が平常に戻るに連れ、ダンス界もまた、1年のカレンダーが機能するようになってきた。アフターコロナとロシア・ウクライナ戦時下の影響でもちろん従来通りではないが、世界は既にニューノーマルを受け入れ、それにフィットして進んでいるように感じる。

昨年より、ロンドンインター、UK、The Openを始めとする世界各国の様々な大会に審査員として招聘され、参加してきた。国際大会を目の当たりにする度に、残酷なまでに彼我の差を見せ付けられ、今回もまた日本人選手の前に立ち塞がる分厚い壁を感じた。

プロもアマもラテンもスタンダードも、予選の早い段階を勝ち残れないのは、シンプルに戦う土俵に立つ準備が出来ていないからだと思う。ダンスはペアで踊る為、どうしてもパートナリングやコネクションに意識がいきがちだが、本来的にはまず個々がダンサーとして通用するかどうかが大切である。


体幹が無いダンサー、太っているダンサー、痩せっぽっちで薄っぺらいダンサー、猫背なダンサー、内股なダンサー、メイクを勉強しないダンサー、見た目に気を配らないダンサー。

勝てるだろうか?

フロアの上では見た目が全てである。めっちゃいい人だから勝つ訳では無い。自分のアウトフィットが勝てない要素の一つだとしたら、何故それを潰してから土俵に上がらないのだろう。ダンスがうまくなるのはそれからでも充分だと思う。

ベーシックアクション、ファンダメンタル、ベース、シンプルに真っ直ぐ立ち、綺麗に進む。フロアを見渡すとこれが出来ているダンサーしか目に入ってこない。

何故もっと基本的なことを勉強しないのだろうか。


教える側にも問題があるのだろう。

国内の小さな派閥争いに終始して、習いにくれば、パーティー手伝いにくれば点をやると平気で言っちゃうような先生は本当にインターナショナルで通用する選手を育てる気は恐らく無いのだろう。

そこに習いにいく時間とお金があるなら、自分を磨き、シャドーする時間に充てたほうが余程良い。

たまたま教わっている先生が審査員に入って成績が出たとしても、それは一時のもの。本当にいいダンサーなら、ジャッジ周りしなくても必ず何処かでチャンスを掴むだろう。世界を標準に見据え、アジアのライバル達と鎬を削っていれば、自ずと日本のトップ選手になっているはずだ。


日本で審査をしている先生の何人が果たして、コンスタントに世界の大会に赴き、現場を見て、勉強しているのだろうか。

世界のレベルは動画では分からない程、遥かに高くなっている。そこにキャッチアップしていく選手を育てる為には、まずコーチャーがアンラーニング(学び直し)しなければならないだろう。

ダンスシステムは複雑化し、個々の身体能力は向上している。俺が現役だった頃は、、はもう通じないんです。

すぐには変わらないだろう、中国がここまで強くなるのに、およそ20年かかっている。子供を育て、様々な経験をさせ、インターナショナルコーチを頻繁に招聘し、国際大会に連れていく。ダンスだけでなく、英語、マナー、考え方や立ち振る舞いまで徹底的に教育する。

日本も原点に立ち返って、一から始めないと中国はおろか、韓国、台湾にも追い抜かれるだろう。


これからも1人でも多くの日本選手の国際大会での活躍を応援している。

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