「Dream Come True 」


夏の入りが遅かった所為なのか、突然の猛暑に身体が付いていかない人も多いのではないだろうか。特に東京の夏は厳しく、長時間外に出ていると、命の危険すら覚えてしまう。そんな暑い夏が来るたびに、ダンス界には大きなイベントが訪れる。毎年、8月の2週目の週末に世界のトップファイナリストが東京に集結する。世界中、どこを探しても類を見ないビッグイベント、「World Super Stars」が開催されるのである。



主催者である、Micky and Momo こと、毛塚道雄、雅子両先生がこの「World Super Stars」をスタートさせたのが、29年前のオーストラリア。第3回目から、場所を東京に移し、以来毎年世界のスーパースター達を集め、素晴らしいパーティーを開催している。なんと来年で30回を数えるイベントなのだから、もはや歴史ある伝統的な行事と言っても差し支えないだろう。


私自身も学生の頃は、部室に置いてあるWSSのビデオを齧り付きながら、テープが擦り切れるまで、何度も何度も繰り返し見ていた思い出がある。今でもビベッケと踊っていたポール・キリックのルンバの3回転の美しさや、ブライアンのジャイブの魔法のような足捌きは脳裏に焼き付いて離れない。マイケル・マリトースキーのシンプルな黒いシャツのショーダンスやスラビック・クリクリヴィーのバンボレーヨなど、名作と言われる作品を生で初めて見た時の感動も忘れない。レジェンドとして、スペシャルなショーを復活させてくれたアラン・トーンズバーグや、アンドリュー・シンキンソンの円熟した踊りを間近で見れたのも全てこのパーティーだった。



そんなパーティーになんと今年、私達もジャパン・フューチャースターズという枠で、出演する機会を頂けたのだ。初めに依頼を聞いた時には、素晴らしく光栄な事だと感じると共に、世界のトップに混じって踊るプレッシャーが重くのし掛かってきた。来るべき日に向け、新たにショーの振り付けに取り掛かり、衣装のデザインから、音楽の編集、練習のスケジューリングなど、着々と準備を進め、前日の金曜日の夜、会場であるロイヤルパークホテルにて、リハーサルを行った。トップファイナリスト達に混じって行うリハーサルは非常に緊張感があり、特にパートナーのアナは、自分が小さな頃から一緒に戦ってきたメンバーとの競演ということで、殊更緊張していたように感じた。



もう15年以上、シーズンになると、毎週末色々なパーティーにゲストとして招かれ、常にベストを尽くし踊って来たが、こんなに緊張したことがかつてあっただろうか。まるでスーパージャパンカップで初めてのセグエを踊った時のように、はたまたブラックプールのチームマッチで整列している時のように、ドキドキが止まらない。一緒に共演する浅村組も隣で、深呼吸ばかり。


道雄先生のいつもの長ーい挨拶が終わり、いよいよ出番である。私達は新作のタンゴのショーダンスと、アナと組んで初めて踊ったルンバ「I love you 」の2曲を披露させていただいた。オーディエンスの興奮と期待のこもった声援を背に受け、息が止まるほどの緊張の中、なんとか無事に踊り終え、ショーは終演を迎えた。



世界一のダンサー達と共に世界一のオーディエンスの前で踊るというまたと無い、素晴らしい経験。本当に素晴らしい機会を与えていただき、これまで支えてきてくれた方々に感謝申し上げたいと思う。

そしてこの場を借りての発表になりますが、このショーの出演を機会に金光・アナ組は競技の第一線から退き、今後は後進の育成にこれまで以上に力を注ぎながら、ショーや舞台の仕事に専念していきます。今後とも2人でダンスの道を歩んでいくことには変わりません。どうかこれからも、金光・アナ組の応援を皆様、よろしくお願い致します。



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