一期一会 2020年8月
「フューチャーズカップ」
一向に収まる気配を見せないどころか、第2波ではないかと目されるこのコロナ禍の状況。秋以降の試合やパーティーも続々とキャンセルの悲報が相継ぎ、停滞したままのダンス業界にも、廃業や撤退の影が忍び寄って来ている。私達はこのまま座して死を待つ他ないのだろうか。
私はターンプロした2002年から毎年学連の子達を教えて来た。1年も絶やす事なく毎年冬全へ送り出し、卒業して行ったカップルは100組を超える。自分が学連出身だから、尚のこと愛着が湧くのか、時間の許す限り学連の試合に顔を出し、母校や教え子を応援しては目頭を熱くして来た。
コロナ禍の折、学連最高峰の試合、夏全の中止の一報を受け、何か出来ることはないかと考えたのがオンライン動画投稿コンテスト「フューチャーズカップ」であった。着想は宮岡先生の小中学生ソロコンテスト。活きいきした子供達のダンスを見るにつけ、動画投稿でのコンテストというイレギュラーな形であっても、目標があり、そこに向かって躍動するエネルギーを創り出せるのなら、トライしてみる価値があると決心した。
織田先生や石原正三先生など全国の学連を教えている先生方に声を掛け、対象年齢の枠を高校生から29歳以下まで拡げた。予選毎にベーシックの規程フィガーを作成し、トッププロに実演してもらう方式を採用。エントリーはシャドーの子も活躍出来るよう、ソロ部門とカップル部門、両方を設定。もちろん無料である。動画撮影方法や服装規程、団体成績のポイントシステムなど、細かい規程を詰めてシラバスを作成。着想から情報公開までおよそ2週間というスピードが可能だったのはやはり、有志のメンバーの達の、若い世代のダンサーに何かしてあげたいという熱い想いと、従来の組織の枠組みに捉われない柔軟性があったからだろう。
公式なコンペではないし、ライブで競い合うことも出来ない。失った目標の代わりにもならないかも知れない。それでも再び踊るモチベーションを取り戻すための一助となれば、これに勝る喜びは無い。どうか若い子達には失敗を恐れずに、思いっきりチャレンジしてもらいたいと切に願う。
今回、この企画を実行するにあたり、世界チャンピオンを含む外国人選考委員達や、フューチャーズカップに関わってくれた全員がボランティアで参加してくれています。いつもお世話になっているダンス関連の業者様やスポンサーの方々にも沢山のご協賛、ご支援をいただきました。
皆、想いは一つです。
ダンス業界を盛り上げたい。
このような取り組みがきっかけでダンス界が少しでも元気になってくれると本当に嬉しい。
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